大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)138 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人林昌司の上告理由第一点について。

論旨は、原判決は、控訴人Dの主張に対してのみ本件買収処分は無効でないと判

示しただけで、上告人のこの主張に対しては判断を与えていないというけれども、

原判決の趣旨は本件買収処分が登記簿上の名義人たる右Dとの関係でも又真の所有

者たる上告人との関係でも無効でないというにあること原判文の全趣旨からも、又、

原判文が上告人を含めて「控訴人等の右主張は採用することができない。」といつ

ている点からも明瞭である。従つて原判決には所論のような違法なく論旨は理由が

ない。

同第二点について。

本件買収処分は買収令書を農地の登記簿上の所有者に交付しただけで真の所有者

たる上告人に交付せずして行われたものであることは原判決の認めるところであり、

自作農創設特別措置法九条は農地買収は農地所有者に買収令書を交付してしなけれ

ばならない旨を規定しているけれども、右の場合のように買収令書が登記簿上の所

有者に交付してなされたときでも、法律効果としては農地の所有権は国が取得する

のであり真の所有者が他にあることによつて右買収処分は違法のものとなり、出訴

期間内に取消を求める訴が提起せられたならば裁判所によつて買収処分は取り消さ

れることを免れないものではあるが、それだけで国の所有権取得が当然無効となる

ものではない。されば、論旨中、本件買収は買収令書を真の所有者たる上告人に交

付せずしてなされた無効のものであるからこれを無効でないとした原判決は失当で

あるという点は理由がない。論旨中、憲法一二条違反をいう点は、本件買収を無効

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でないとした原判決が上告人の所有権を侵害する結果となつたことを非難し、実質

上法律違反の主張に過ぎない。原判決には所論のような違法なく論旨は理由がない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとお

り判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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